タモキシフェンを飲み始めてから続く、体の奥が沈むような重さ。 「疲れた」とか「やる気が出ない」といった言葉では言い表せない、 体の奥が重く沈むような感覚に、私は何度も心が折れそうになりました。

つい「今日はだるい…」と弱音をこぼしたとき、 返ってきたのはこんな言葉でした。

「私だって毎日だるいよ」 「根性が足りないだけじゃない?」 「だるいなんて言ってる年齢じゃないでしょ」

悪気がないのは分かっていても、 その言葉は私の胸にそっと刺さりました。 タモキシフェンの倦怠感は、当事者以外には伝わりにくい。 それが、いちばんつらいところだと思います。

この記事では、 私がどれくらいの期間だるさと向き合ってきたのか、 そして、その中で見つけた“心と体を守るための3つの方法”をまとめました。

同じように悩んでいるあなたが、 「ひとりじゃない」と少しでも感じられますように。

窓辺のテーブルに開いたノートと温かいハーブティーが置かれた静かな朝の風景。タモキシフェンのだるさと向き合うために、心を整える時間を象徴するイメージ。

タモキシフェンのだるさはいつまで続く?私の経過とピーク時期

薬を飲み始めたばかりの頃、私が一番知りたかったのが「この泥のようなだるさは、一体いつまで続くの?」ということでした。終わりが見えないトンネルを歩いているような不安を抱えている方に、まずは私のリアルな経過をお伝えします。

青と紫の水彩が重なる柔らかな波の抽象イラスト。タモキシフェンの倦怠感にある“良い日と悪い日の波”を表現したイメージ。

私の場合は「初日からだるく、5〜6ヶ月頃」がピークだった

私の体験をお話しすると、タモキシフェンを飲んだ初日から、すでに少しずつ症状は出始めていました。そこから徐々に体が重くなり、一番のピークを迎えたのは飲み始めて5ヶ月から6ヶ月頃のことです。

服用を始めて1年半が経った今でも、だるさが完全に消えたわけではありません。特に季節の変わり目や、雨の日などの天候が悪い日は、今でもグッと気分の落ち込みや強いだるさに直面します。

「一生このままだったらどうしよう」と不安になることもありますが、1年半付き合ってきて感じるのは、「時間の経過とともに、心も体もお薬に適応してきている」ということです。だるさは常に付きまといますが、初期の頃のような「振り回される恐ろしさ」は少しずつ減ってきているように感じます。

だるさには波がある|良い日と悪い日のくり返し

タモキシフェンのだるさは、ある日突然ゼロになるわけではありません。 「あ、今日は体が軽いかも!」とうれしくなった翌日に、起き上がれないほどの強い倦怠感に襲われることも日常茶飯事です。

まさに「良い日と悪い日のくり返し」。

最初は一喜一憂しては「なんでまた……」と落ち込んでいましたが、今では「禍福はあざなえる縄のごとし」だと受け止めています。良い日もあれば、悪い日もある。それが交互に編み込まれていくのが今の私の日常なんだな、と思えるようになってから、精神的にとても楽になりました。

「あ、今日は波の“底”の日なんだな。じゃあ無理せずやり過ごそう」と、良い意味で諦めて受け流すお守りのような視点を持つことも、大切なセルフケアの一つです。

当事者以外には伝わりにくい“見えないしんどさ”

この治療の何がつらいって、外見からは「普通に元気そう」に見えてしまうことです。

外見では分からない苦しさ

髪の毛がある、普通に歩けている。それだけで、周囲からは「治療が終わって元気になった人」に見えがちです。だからこそ、身近な人から「だるいのはみんな同じ」「サボってるだけじゃない?」と言われたときの孤独感は、言葉にできないものがありました。

でも、声を大にして言いたいです。あなたのそのだるさは、気のせいでも根性論でもありません。

ヘルプマークの話

どうしても周囲に理解されず、電車や公共の場でつらい思いをしているなら、一つの選択肢として「ヘルプマーク」を利用するのも手です。外見からは分からなくても、援助や配慮を必要としている人が身につけるあのマークです。

実は私も「私の市町村でももらえるのかな?」と気になって、一度市役所に確認したことがあります。窓口で「どんな治療をしていて、どんな副作用があるのか」、そして「周囲にどうして欲しいのか」を申請書に記入し、申請すればもらえるとのことでした(※自治体によって配布基準や窓口が異なる場合があるので、気になる方は一度お住まいの市役所や保健所に確認してみてくださいね)。

私はまだ実際に申請はしていませんが、「どうしてもつらい時は、市役所に頼ればあのマークを味方にできるんだ」と知っているだけでも、お守りをもらったような安心感がありました。見えないしんどさを一人で抱え込まず、使える制度や仕組みには優しく頼っていきましょう。

なぜタモキシフェンで強い倦怠感が出るのか(医学的な理由)

「私の心が弱いのかな」と自分を責めてしまわないために、なぜこんなに強いだるさが出るのか、理由をやさしく紐解いておきましょう。

ホルモン変化による自律神経の乱れ

タモキシフェンは、エストロゲン(女性ホルモン)の働きをブロックするお薬です。 これにより、体の中は急激な「更年期」のような状態になります。女性ホルモンの急減は、体温調節や自律神経のバランスを大きく揺さぶるため、結果として激しい倦怠感やホットフラッシュ、気分の落ち込みを引き起こします。

睡眠の質の低下が重なることもある

夜中にホットフラッシュ(急な発汗やほてり)で目が覚めてしまったり、不安から眠りが浅くなったりしていませんか? タモキシフェンの副作用によって睡眠の質が落ちると、日中のだるさはさらに加速します。寝ているつもりでも、体は十分に休めていない状態なのです。

疲れやすさは“気合い”ではどうどうにもならない理由

お伝えした通り、このだるさは「ホルモンバランスの急変」という立派な身体的理由からきています。 風邪で高熱が出ている人に「気合いで治せ!」と言っても無理なのと同じです。あなたの脳と体が、薬の変化に一生懸命適応しようと戦っている証拠。気合いで解決しようとせず、体を休めることが正解なのです。

私がだるさと向き合うために続けている3つのセルフケア

だるさと戦うのをやめ、「どう付き合っていくか」にシフトした私が、今でも大切にしている3つのセルフケアをご紹介します。

淡いパステルカラーの雲と光の粒が漂う抽象イラスト。タモキシフェンの副作用と向き合う中で、心がふっと軽くなる瞬間を表すやさしいイメージ。

① 10分間のジャーナリングで心の重さを外に出す

体がだるいと、心までネガティブな思考でパンパンになってしまいます。そこで私は、ノートとペンを持ち、今感じているモヤモヤをそのまま書き出す「ジャーナリング」を始めました。 「だるい、しんどい、もう嫌だ」 綺麗事はいりません。黒い感情もすべて吐き出すと、頭の重荷がフッと軽くなります。

💡 あわせて読みたい 詳しいノートの書き方や、心のデトックス効果については、こちらの記事で詳しく解説しています。
🔗 タモキシフェンの副作用で心が限界…私を救った「10分間の独り言ノート」の体験談

② ハーブティーで呼吸を整え、気持ちをゆるめる

だるい時は、体が緊張して呼吸が浅くなりがちです。そんな時は、お気に入りのマグカップに温かいハーブティーを淹れて、あえて「何もしない5分間」を作ります。 湯気と一緒に立ち上る香りを深く吸い込むだけで、こわばっていた心と体がじんわりと緩んでいくのが分かります。

💡 あわせて読みたい 私が実際に飲んでホッとした、イライラや不安を和らげるのにもおすすめのハーブティーはこちら。
🔗乳がんホルモン治療(タモキシフェン)の副作用・抑うつを乗り越える。一杯のハーブティーで心を整える対処法

③ 自分を思いっきり甘やかす日をつくる

「だるい日は、徹底的に自分を甘やかす!」と決めました。

  • 観たかった映画を一気に観る
  • 好きな本を読む
  • お気に入りの音楽に耳を傾ける
  • ダイエットは忘れて、今一番食べたいものを食べる

そして何より、「家族のごはんは手抜きでOK」にすること。
私の夫は、私がタモキシフェンを飲み始めるときに、看護師さんからの注意事項などを一緒に聞いてくれていました。そのため、薬の副作用についてとてもよく理解してくれています。

だから、どうしても体が重い日に「今日はしんどいから、出来合いのものでもいい?」と聞くと、いつでも「いいよ」と快く返事をしてくれます。

その代わり、体調が良い日にはしっかり自分で料理をして、夫の好きなおかずを作ってあげるようにしています。

無理をせず頼れるときは頼り、元気なときには笑顔で感謝を返す。このバランスが、今の私たちの“ちょうどいい距離感”になっています。

動けない日の過ごし方|罪悪感を手放すための工夫

どうしても体が動かない日、罪悪感なしに過ごすための私のルールです。

できない日は“できない前提”で過ごす

「あれもこれもしなきゃ」と思うからつらいのです。「今日は動けない日!」と決めたら、ハードルを地面に埋まるくらい下げます。洗濯物が溜まっても死にやしません。

椅子エクササイズで「動ける日」を少しずつ増やした

少し体調が良い日や、「ちょっとだけ体を動かしてみようかな」と思えた日は、無理のない範囲で椅子を使った軽いエクササイズを取り入れました。 ガッツリ運動するのではなく、座ったままストレッチをする程度ですが、血流が良くなることで不思議と翌日のだるさが和らぐのを実感しています。

💡 あわせて読みたい ベッドの上や椅子に座ったまま、不安を和らげるための腹式呼吸のやり方がわかります。
🔗 夜の5分で心を整える。乳がん術後の不安と副作用を和らげる「腹式呼吸」とストレッチの習慣

家事は“完璧にやらない”と決めたら楽になった

掃除はルンバやコロコロに任せる。どうしてもやりたい時は、「今日はトイレと玄関とリビングだけ!」と掃除する場所を限定する。これだけでも、こなさなければいけないタスクが減ってグッと楽になります。

そして、一番溜まりがちな食器洗いも、我が家には食洗器がないので、しんどい日は次の回に回すことにしました。

とはいえ、そのままシンクに放置するのは少し不衛生だし、視界に入るたびに罪悪感を覚えてしまいますよね。そこで私は、「たらいに水を張り、食器用洗剤を少し入れて、そこにつけ置きしておく」という方法をとっています。こうしておけば、汚れもこびりつかないし、体調が少し回復したときにサッと楽に洗うことができます。

同じ悩みを抱えるあなたへ|あなたのペースで生きていい

最後に、今まさに画面の前で、だるさと戦っているあなたへ伝えたいことがあります。

あなたのペースで生きていい

周りの足並みに合わせようと急ぐ必要はありません。 カメの歩みでも、時には立ち止まっても大丈夫です。

あなたの心と体が「心地よい」と感じるペースを、 いちばん大切にしてあげてください。

良い日もあれば、悪い日もある。 動ける日もあれば、何もできない日もある。 そのどれもが、あなたの“今を生きている証”です。

毎日100点を目指さなくていい。 30点の日があってもいいし、0点の日があってもいい。 その積み重ねで、あなたは確かに前に進んでいます。

どうか、自分を急かさず、責めず、 あなたのペースで、あなたの人生を歩いていってくださいね。 一緒に、のんびり進んでいきましょう。

今日も生きているだけで十分です。
あなたのペースで、ゆっくり進んでいきましょう。

柔らかな朝の光が差し込む寝室で、ベッドサイドにラベンダーとマグカップが置かれた穏やかな風景。だるい日に“休んでいい”と伝えるような安心感のあるイメージ。

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本記事は執筆者の体験および一般的な知識に基づいた情報提供を目的としています。乳がん術後の経過には個人差があるため、リハビリや運動を開始する際は、必ず主治医にご相談ください。 詳細は、当ブログの[プライバシーポリシー・免責事項]をご確認ください。